授業レポート

若葉
若葉

起農みらい塾レポート No.03
販売企画の学びのために『とれたて元気市』へ行きました。

日時:2023年8月27日(日)10:00~16:00
会場:〈店舗売場〉とれたて元気市 広島店、2階会議室 とまと・わけぎ

販売活動に向けて、まず、現場の産直市を知ることから。

販売活動に向けて、まず、現場の産直市を知ることから。

10月に実施する販売活動の準備のため、JA全農ひろしまが運営する直売所『とれたて元気市 広島店』を訪問しました。店舗2階の会議室が教室です。
「競合商品を学び、利益のでる商品を考えよう!」
今回のメイン講師、豊永先生が今日の目標を伝えました。
売れる・儲かる商品には欠かせない、ライバル商品のチェックと価格設定の学びです。
まずは、販売する現場を知ること。ゲスト講師、JA全農ひろしまの山里先生から、とれたて元気市の概要の話がありました。
平成13年10月、地産地消実践の場としてオープンしたお店で、広島県産の農畜産物や加工品、惣菜などを販売しています。一般のスーパーとは違い、農家さんが直接商品を持ち込み、自身で値段をつけて売場に陳列して販売するお店です。昨年の売上げは12億円以上、広島県内の産直市では一番売上げがあるとのこと。
「日曜日は、どのくらいの人が来店されるのですか?」
豊永先生の質問に、山里先生が答えました。
「約2,500人のお客さまが来店して、約500万~600万円の売上げです。1人あたり2,000~2,500円のお買い物をしていることになりますね」
子どもたちの販売活動の日が、同じ日曜日なので参考になればとの思いがあったようです。

売場には強者揃い、ライバル商品をチェック。

売場には強者揃い、ライバル商品をチェック。

とれたて元気市を巡るツアーが、山里先生をガイド役にスタートしました。農家さんが商品を運び入れる扉を開けると、商品を保管するバックヤード。一般のお客さんが入れない場所で、子どもたちも興味深そうに見学していました。農家さんが値札シールを発行するスペースや野菜用の広い冷蔵庫もありました。店内に入るとお客さんでいっぱいでした。
「おうちの人と何回か来たことある!」
「お母さんは、ここで野菜をよく買ってるよ」
「ご飯の近くに、お味噌汁やコロッケが並んでる」
米や野菜、花、果物、魚、肉などの売場を進んで行き、どこに何を売っているのか、並べ方はどうなっているのか、子どもたちは、山里先生の話を一生懸命聞き、メモをとりながら回りました。

売場では、どこに何を売っているのか、並べ方はどうなっているのか、子どもたちは、山里先生の話を一生懸命聞き、メモをとりながら回りました。売場では、どこに何を売っているのか、並べ方はどうなっているのか、子どもたちは、山里先生の話を一生懸命聞き、メモをとりながら回りました。

次は、JA全農ひろしまの狩谷先生がガイド役の調査ツアーです。
①ライバルになりそうな商品の価格と内容 ②販売の工夫 ③購入しているお客さんの特徴
この3つを重点的にチェックしていきます。
狩谷先生が、1つのお弁当を手に取りました。
「この広島牛の焼肉弁当が、強力なライバルです。値段や内容をよく確認してくださいね」
その他にも、『みのりみのるキッチン』の惣菜や弁当、『みのりカフェ』では惣菜を包んだクレープがあって、こちらも競合になりそうです。使っている食材や価格、容器、シール、並べ方、POPなどもチェック。品定めしているお客さんを注意深く観察する子どももいました。
「かわいいね。みんな何やっているの?」
高齢のお客さんに声をかけられ、大学生スタッフはPRを込めて答えていました。
「10月22日に広島牛を使った商品を販売するので、見学と調査をしているんです。そのときは、ぜひ来てください!」

商品企画のアイデアを引き出す、小さな気づき。

楽しみにしていた餌やり体験

教室に戻り、調査結果をチームでシェアしました。
「近くのスーパーより広かった。たくさんの野菜や花があった」
「女性のお客様が多かった。スーパーより野菜の値段が安かった。洋風のスイーツより和菓子が多かった」
「お弁当の容器に個性があった。曲げわっぱに入って美味しく見えた」
「1人の農家さんが、いろんな種類の野菜を出荷していた」
「同じナスの売場に、いろんな農家さんが作ったナスが置いてあった」
「パッケージのシールに“今が旬”や“セール品”の表示があって、買いたくなった」
「農家さんのイラスト入りシールは、誰が作っているか、わかるのでいいなと思った」
「お米売場で、精米できるのでビックリした」
「お寿司のコーナーに味噌汁がおいてあった。近くにまとめてあるから買い物しやすいと思った」
「いつものスーパーに比べて、棚が低くて、手にとりやすい」
子どもたちの気づきはさまざま。
サポートしていた大学生スタッフも、子どもたちの様子に感じるものがあったようです。
「商品を企画するときに大切になることを理解していたようで、商品やPRの方法などを細かく意欲的に見学していましたし、疑問に思えば、積極的に聞いていました」

小林先生への質問コーナー
小林先生への質問コーナー

昼食は本来のお弁当の他に、競合商品になる広島牛の焼肉弁当が配られ、試食しました。見映えや食材、味をチェック、商品企画の参考にするためです。
「お肉がジューシーだった」
「ご飯がモチモチしていた」
「シンプルなパッケージだった」
「ちょっと辛くて大人向けだった」
「玉ねぎが甘くて、シャキシャキで新鮮だった」
「ご飯の中まで味が染みて、どこから食べても美味しかった」

儲けを生み出す、値段の仕組みを学ぶ。

みんな、堆肥の温度と感触を確かめることができました広島和牛歴史資料館の見学広島和牛歴史資料館の見学昼食は、広島和牛のカルビ弁当。広島和牛についてのワークショップ

午後の授業は、お店で販売しているお弁当の値段を、どのように決めているのか、山里先生に解説をしてもらいました。
商品を企画するときのポイントが5つ。①お客さんを想定した売れるメニューづくり ②使用する食材選び ③食材の仕入れ先 ④食材の価格 ⑤利益のでる販売価格
その他にも商品にかかる諸経費、出店料や調理する人の賃金、お弁当の容器や箸などの資材費用も考える必要があるとの話でした。
また、とれたて元気市で実際に販売している広島牛の焼肉弁当を例に、販売価格や作るために必要な材料費、その他諸経費の金額から、原価率や収益率の計算方法、値段を決める仕組みを教わりました。
その後、原価率と収益率を計算する問題にチャレンジし、見事みんな正解。頑張った声も聞かれました。
「初めて聞く言葉が多かったし、計算するのも難しかった。何回も説明してもらって、だんだんとわかってきた」
間近でサポートしていた大学生スタッフからはこんな声も。
「子どもたち同士、だいぶ慣れてきて打ち解けています。計算とか難しかったのに、諦めずにやろうとするのがすごいと思いました。理解もみんな早い。わからなくても意欲がすごいんです。みんな前向きですよね」

豊永先生は、学びのポイントのおさらいをしました。
「材料費と同じ値段で売ると儲けは無いよね。お弁当を作るときにかかった費用にいくらか上乗せしないといけない。売る値段に材料費がどのくらい占めていて、それ以外にもお金がかかっていることを知ってもらいたかったんだ。それらを引いたものが、みんなの儲けになるんだよ」

お客さん目線で商品を考える、大切さと難しさを実感。

広島和牛についてのワークショップ広島和牛についてのワークショップ広島和牛についてのワークショップ

お店調査第2弾。とれたて元気市のお客さんや、お店の方へのヒアリングです。
次回の授業で、商品の値段や内容、ネーミング、販売個数、パッケージ、売り方などを決めるので、そのための情報集めです。価格帯や分量、お弁当を選ぶときの判断基準、味の好みのアンケート調査をしました。好意的なお客さんが多く、調査は捗りました。20人以上にヒアリングできたチームもいました。
「たくさんの人にインタビューできた!」
「素早くメモすることをがんばった!」
お店の人に売り方のコツを教わったり、キッチンカーのメニューの内容を聞いているチームもいました。

調査結果の発表から、子どもたちが商品開発や販売のヒントをつかんだことが感じられました。

広島和牛についてのワークショップ
広島和牛についてのワークショップ
広島和牛についてのワークショップ

「買ってもらいやすい値段がわかったので、参考にしたいです」
「量の多いものから少ないものまで用意すれば、みんなが買いやすくなると思った」
「お客さんは見た目も気にするので、丁寧に盛り付けたい」
「お店のお弁当の1日の販売数を教えてもらったので、自分たちが何個売るのか目安にしたい」
「商品の説明で、どんな食材を使っているのか、強みをアピールしたい」
「体のことを考えて、サラダをセットにした栄養バランスのいい商品を作りたい」
お客さん目線で商品を考える、大切さと難しさを実感するとともに、販売のプロのアドバイスもあり、有意義な調査になったようです。

広島和牛についてのワークショップ

授業を終えての大学生スタッフの話です。
「自分が普段当たり前だと思っていたことを、子どもたちは疑問に思って切り込んでくれて、私自身に新しい視点を与えてもらっているような気がします。とてもユニークな体験です」
「昨年の経験を元に、ディスカッションをスムーズに進行するサポートをしていますが、今日も自然に意見を次々と出し合っているし、がんばって発表もするし、うれしいですね」

ページトップ