授業レポート

若葉
若葉

起農みらい塾レポート No.05
お米の収穫体験学習のために世羅町に行きました。

日時:2023年9月24日(日)10:00~16:00
会場:世羅町 せらにしタウンセンター(つばきホール)

稲刈り後の田んぼに芽生えた、農家さんと食への感謝の気持ち。

朝から絶好の農作業日和。お米と稲作について知るため、稲刈りをします。

朝から絶好の農作業日和。お米と稲作について知るため、稲刈りをします。品種は、10月に販売する焼き肉弁当で使うお米と同じ『せらにしあきさかり』です。

RCCのアナウンサー 田村友里さんが駆けつけ、子どもたちといっしょに学び、体験も行います。

今日は、RCCのアナウンサー 田村友里さんが駆けつけ、子どもたちといっしょに学び、体験も行います。稲刈りが初めての子どもが多いなか、田村アナは稲刈り経験者で、本人曰く自信ありとのこと。

法人連携組織おぐにフィールド代表の小迫先生

作業前に、本日、お世話になる法人連携組織おぐにフィールド代表の小迫先生から稲刈りのアドバイスがありました。
「下から40cmくらいの部分を握って、土の上から5cmのところを刈ります。刃がノコギリのようになっているので、回すように引っ張るとよく刈れます」

みんな軍手をして鎌を持ち、稲刈りスタート。みんな軍手をして鎌を持ち、稲刈りスタート。

みんな軍手をして鎌を持ち、稲刈りスタート。
慣れるまで苦労していましたが、途中からコツをつかんだようで、どんどん刈り取っていき、商品になる大切なお米なので、稲穂の束を丁寧に並べていきました。収穫したお米は、10月下旬頃から産直市や生協などで、新米として販売されるということです。

みんな軍手をして鎌を持ち、稲刈りスタート。みんな軍手をして鎌を持ち、稲刈りスタート。みんな軍手をして鎌を持ち、稲刈りスタート。

「みんな、いつのまにか上手になってる!手つきがベテランの農家さんみたい!」
最初は自信満々だった田村アナが、私より上手いと驚いていました。

みんな軍手をして鎌を持ち、稲刈りスタート。

稲刈り体験を終えた子どもたちの感想はさまざま。
「刈るときにすごく力がいるし、大変だった。でも、うまく刈れたときは気持ちよかったので楽しくなってきた」
「田んぼにトンボが飛んできたり、コオロギもバッタも、虫がいっぱいで楽しかった!」
「稲が刺さると痛かった。農家さんは苦労してがんばってるんだなと思った」
「家で食べているいつものお米なんだけど、体験してすごく力がいる作業だったので、作る大変さを知った」

農業技術を手元で操る、農作業の進化形。

農業技術を手元で操る、農作業の進化形。

スマート農業の取り組みについて、デモンストレーションを交えてのお話です。
「年を重ねると暑い日の作業がつらく、特に防除作業が手間なので助かっています」
小迫先生は農業用ドローンを紹介しました。農薬や肥料の散布を手元で操作できるため、田んぼに人が入らなくても作業できます。ドローンが飛び立ち、田んぼの上でのホバリングも見学できました。
「めっちゃすごい!思っていたより、でかくてびっくりした」
「慣れた感じで操作するし、さすが農業のプロ!」

畦畔の草刈りの負担を解消するラジコン草刈機

次は畦畔の草刈りの負担を解消するラジコン草刈機です。子どもたちは、操縦体験も行いました。
「前と後ろに動かすのが難しい…」
農家さんに見守られながら奮闘していました。

畦畔の草刈りの負担を解消するラジコン草刈機

「草刈りで大変なことは何ですか?」
子どもからの質問に、小迫先生が答えました。
「斜面の草刈りが一番大変です。足を踏ん張らないと滑り落ちるので…。でも、ラジコン草刈り機があるので安全に作業できます」
続いての質問です。
「昔はどうやって草を刈っていたんですか?」
「稲刈りと同じで、鎌で草を刈っていました。その後、背負い式や手持ち式の草刈機に進化しました」
午前の授業の締めくくりは、小迫先生から子どもたちに向けてのメッセージでした。
「農業の近代化は機械化です。労力を抑え、耕作面積も広くなったことで、なんとか儲かるようになりました。この中で農業をやってみたいと思う人がいれば、チャレンジしてください。今、地球の人口は約78億人です。将来100億人になると言われていて、食料不足になる心配があります。だからこそ、若いみなさんに期待しています」

出来映えは関係なし、自分で作れば、美味しさ“増し増し”!

出来映えは関係なし、自分で作れば、美味しさ“増し増し”

昼食は、自分で握ったおむすび。形も大きさも個性的な仕上がりです。ゆで卵や広島菜漬もいただきました。
食後の子どもたちの声です。
「おむすびを握るのは、家でやったことなかったけど上手にできた。自分で作ったから美味しかった!」
「ご飯粒がバラバラになって、まとまらなくて大変だった」
「家で料理しているので、こういうのは得意!」
「広島菜漬は初めて食べた。ちょっと辛かったけどそれが美味しかった!」

昼食は、自分で握ったおむすび昼食は、自分で握ったおむすび昼食は、自分で握ったおむすび

もっとお米を食べれば、農家さんはもっと元気になれる。

もっとお米を食べれば、農家さんはもっと元気になれる。

「稲刈り、お昼ごはん、販売する商品に使うお米、全部『せらにしあきさかり』です。今日の体験と学びがあれば、販売活動のときにお客さんにPRしやすいし、買ってもらいやすいよね」
大野先生は、これから行う授業の大切さを話した後、クイズを出しました。

「1本の稲穂に何粒実ると思いますか?」

「1本の稲穂に何粒実ると思いますか?」
品種によって差はありますが、一般的に約80粒。そのうち80~90%がお米として食べられるそうです。

JA全農ひろしまの狩谷先生の授業

JA全農ひろしまの狩谷先生の授業、日本人のお米の消費についての学びです。1年間でお米を食べる量は、1人あたり約56.1kg(令和3年推計)、昭和37年のピーク時には100kgを超えていたので約半減。食生活が変化して、お米を食べる機会が減っていることが要因です。

子どもたちから、お米をもっと食べてもらうためのアイデアが飛び出しました

子どもたちから、お米をもっと食べてもらうためのアイデアが飛び出しました。
「“お米は日本人の魂!”とPRする」
「3分で炊ける炊飯器を開発する」
「米粉の商品を増やす」
「お米の非常食を作る」
続いて、田村アナならではのアイデアが聞かれました。
「みんなのアイデアが素晴らしすぎて、言うことがなくなりました(笑)。私は放送局で働いているので、TVの力を信じて、美味しそうにお米をいっぱい食べることで、力を発揮したいです!」

お米を作る農家についての授業では、全国からみた広島県におけるお米の収穫量の順位や、収穫量の変化、農家の高齢化と農家数の減少の課題などを知ることができました。

「なぜ、平均年齢が高くなっているんですか?」
子どもからの質問に、小迫先生が答えました。
「広島県は急斜面の水田や棚田が多いので、農作業や管理の労力がすごくかかります。それで若い人が農業に挑戦しにくいんです」
大野先生はみんなに聞いてみました。
「農業をやってみたい人はいますか?」
手を挙げた子どもが意外と多く、その理由を聞くと…
「おじいさん、おばあさんを手伝いたい!」
「お米は日本で昔から食べられてきたものだから、農業の文化を守りたい!」
優しさにあふれる、うれしい声でした。

若い人に限れば就農者数は増えているとのこと。ただ、稲作ではなく野菜や果物の農家です。
「どうして野菜や果物を作る農家さんが多いの?」
子どもからの質問に狩谷先生が答えました。
「お米に比べて、そこまで広い農地を必要としないのも理由のひとつです」
小迫先生からは、自分で農業を行う形だけでなく、雇われる形もあるとのこと。
「農業をするには、農地、お金、技術が必要ですごく大変です。農業をしたくても、どれか一つ欠けるとできません。若い人が増えているのは、大規模農家が雇用しているのも関係しています」

農家さんを救う、スマート農業と起農みらい塾的発想。

狩谷先生が具体的に農家の年収の一例を示しました

狩谷先生が具体的に農家の年収の一例を示しました。
「20ha以上の面積の場合、平均すると約5,000万円の収益で、所得は約1,250万円です」
専業農家だけ見ると、儲かっている人の方が多く、一定の面積と販売する力があれば農業として成り立つそうです。
「収益は多いけど、経費が思ったよりもかかるし、農業をやっている人はすごいんだな」
子どもの素直な感想が聞かれました。

狩谷先生が具体的に農家の年収の一例を示しました

スマート農業のおさらいでは、午前中に見学した農業用ドローンやラジコン草刈機の他、田んぼに行かなくても水管理ができるシステム、無人トラクターなどが紹介されました。 「人間の力だけでは大変なことも、機械の力を借りるとラクになります。技術も継承できるので誰がやってもある程度のレベルになります。みなさんが大人になる頃には、もっと農業は進化していると思いますよ」
小迫先生の言葉には、農家をめざす人が増えてほしいとの願いが込められていました。

狩谷先生が具体的に農家の年収の一例を示しました狩谷先生が具体的に農家の年収の一例を示しました

お米の消費を増やすアイデアを、グループで考えて発表しました。
「麺類やスイーツで米粉を使った商品を増やす」
「お米の博物館、お米ゲーム、早く炊ける炊飯器を作る」
「お米のテーマパークを作る」
「ペットフードの小麦粉を米粉に置き換える」
「炊飯体験やお米の食べ比べをしてもらう」

発表を聞いた狩谷先生の感想です。
「どうすれば美味しく食べられるのか、さまざまな食べ方のアイデアをありがとうございました。PRが足りていないことにも、気づかされました。お米の消費が増えれば、お米を作る人も増えます。きっと、農業が元気になると思います」
続いて小迫先生です。
「お米を使った商品開発の可能性を感じました。お米の消費には生産者と消費者、その関係が離れないよう、お互いが交流して理解することが大切だと思っています」
最後に田村アナです。
「私からは出てこないアイデアがいっぱいでした。発想力豊かで、なんて素敵なんだろうと感心しながら聞かせてもらいました。10月の販売活動は、お米とお肉の美味しさが伝わるようにがんばってください!そのとき、また会いましょうね!」

10月の販売活動は、お米とお肉の美味しさが伝わるようにがんばってください!そのとき、また会いましょうね!
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