授業レポート

若葉
若葉

起農みらい塾レポート No.02
「お金の働き」と「牛乳の効果・課題」について学びました!

日時:2024年7月29日(月)10:00~15:30
会場:イノーベーション・ハブ・ひろしまCamps

モノの価値を考える!欲しいモノと必要なモノを区別する大切さ。

授業の前に、大野先生から起農みらい塾の“学び合いのルール”が示されました。
1. 人の話は否定せず最後まで聞こう!
2. 自分と相手の意見がちがうから面白い!
3. 自分の意見が通らなくてもやってみよう!
ここに加えられたのが、“思ったことは何でも聞いてみよう!”。
疑問や不明な点をそのままにせず、積極的に解決するスタイルで挑みます。

澁谷先生の『おかねのがっこう』の授業が始まりました。ワークシートに記入しながら、学びを見える形で完成させていきます。
物々交換で必要なモノを手に入れていた時代や、お金の代わりになっていた物品貨幣(米・塩・貝・布)の存在などお金の歴史を学びました。お金にまつわる漢字には“貝”が使われていることを知り、塾生は思いついた漢字を次々と発表しました。最初のお金である「和同開珎(わどうかいちん)」の誕生から、今年発行された新紙幣の肖像画、千円札の北里柴三郎、五千円札の津田梅子、一万円札の渋沢栄一についても勉強しました。

モノと交換できる、モノの価値を比べられる、貯めておくことができる、お金の3つの役割。
塾生が理解しやすいように、日常での具体的な場面を取り上げて説明がありました。

澁谷先生から簡単なクイズの出題です。
「お家にあるお金はどこから入ってくるのかな?」
仕事をしてもらっている、お金の木からとってくるの二択でした。
「全員正解!仕事ですね。誰かの役にたつことでお金をもらえます」
ここで大野先生が、起農みらい塾ならではの答えを導きました。
「成功する起業家は、お金のなる木を持っています。仕組みを知っています」
この言葉の意味に、気づくときがくると、塾生に期待している表情が印象的でした。

澁谷先生は、“何にいくら使うか目標を立てる”、“使うお金と貯めるお金を分けて考える”、“使い道をふりかえる”、お小遣いについて大切なポイントを伝えたあとに続けました。

「お金はお家の人が仕事で得た大切なものです。ムダ遣いをしないように、欲しいモノと必要なモノをしっかり区別できるようになってください。欲しいモノは、あるとうれしいモノ。必要なモノは、ないと困るモノです」

お金についての勉強は、大人になれば、今以上に大切になってきます。その貴重な授業は、澁谷先生の楽しいおしゃべりと相まって、塾生にとって充実した時間になりました。

稼ぐためのお金の使い方、活かし方をゲームで学ぶ。

午後からはJAバンク広島の斎藤先生の授業です。シミュレーションゲームでお金の使い方や稼ぎ方を学びます。塾生は農業の経営者になり、野菜の収穫量とお金の出入りを記入しながら進めていきます。手持ちは1000コイン、最終的にどれだけ増やすことができるかチャレンジです。

ナス、トマト、キュウリの中から2つ育てる野菜を選び、苗を買ってスタート。次に自然由来の肥料と化学肥料どちらかを選びます。化学肥料は値段が高いものの、収穫量は大きく増えます。農機具も最新型か中古品かで、値段も性能も違います。ここで、最新の機械を買いたくてもコインが足りない塾生がでてきました。金融機関から借りることができますが、最終的な返済額は金利手数料を加えた額です。みんなしっかりと悩み、選んでいました。 農薬を買って使う選択もあり、使わなければ無農薬野菜になりますが、病気になる可能性があります。

「ここでアクシデント発生!野菜が病気になりました!」
被害を受けた野菜はキュウリでした。農薬を買っていた人はセーフ!
キュウリを育てていた塾生の悲鳴と助かった塾生の歓喜の雄叫びが教室内に響き渡りました。

野菜を売って収入を計算。有名人がSNSでトマトを、人気TV番組で無農薬野菜が紹介され、それぞれボーナスがプラスされました。お金を借りた人は返済し、残ったお金に売上げを足しました。そこから最初の手持ち1000コインを引いたお金が利益です。

「今日はゲームの世界でしたが、本当の農業も、いつ病気になるかわからない。自然災害や野生動物による被害など、いつ起こるかわからないことに備えています。お金を使うときはよく考えてください。どんなモノを買いたいのか、その値段は価値に見合っているのか、他にもっといい商品はないのか、お金は計画的に上手に使いましょう!」

塾生の感想はさまざま。
「お金はよく考えて使わないといけないと感じた」
「先のことがどうなるかわからないから、予測が難しかった」
「普段食べている野菜は、農家さんがこだわって作っていることがわかった」

斎藤先生は最後に、お金がすべてではないと締めくくりました。
「農家の人はお金を稼ぐためだけに作っているわけではありません。みんなの元気のため、美味しいと言ってもらえるように、よりよい野菜を作るため、やりがいをもって頑張っています。スーパーに行ったとき、食事をするときに農家さんのことを少しでも思い出してくれるとうれしいです」

牛乳のチカラを知ってもらい、酪農家さんを救う。

山陽乳業の堀本先生が登場!牛をモチーフにしたデザイン柄のキャップとシャツを身にまとった姿です。
みんなで、広島県酪農業協同組合の「牛乳そんぐ」の動画を視聴しました。
小気味いいリズムに合わせ、踊りながら歌っています。牛乳の特長や効果、豆知識が歌詞に盛り込まれ、聴いているだけで勉強になります。楽しい雰囲気が広がり、場が温まったところで授業が始まりました。

「日本人は、すべての世代でカルシウムが不足しています。牛乳はそれを摂るにはとてもいい飲み物です」
堀本先生は、諸外国に比べて日本は牛乳が飲まれていない現状と、意識してカルシウムを摂ることの重要性を伝えました。

牛乳の栄養の話では、タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルなど、特にカルシウムが多く含まれているようです。カルシウムは骨を丈夫にすること以外に、血液を固めて出血を防いだり、心臓の鼓動を保ったり、筋肉の収縮をスムーズにしたり、気持ちを落ち着かせるなど、たくさんの役割があることを知りました。

戦後の栄養不足の子どもたちを救った学校給食は、牛乳の存在が大きかったとのこと。給食がある日とない日ではカルシウム摂取量に差がでるようです。

牧場から学校へ牛乳が届くまでの流れを学習したあと、塾生から質問がありました。
「牛乳を搾ったあとは、どんな加工をしているのですか?」
堀本先生は、牛のお乳を手で搾っていた昔の作業と今の衛生面に配慮した工程について説明しました。
「搾ってパック詰めするまで、ほとんど空気にふれないように作っています。遠心分離機で、1mmの1/1000の目に見えない微細なゴミまで取り除いているんですよ」

農業や食の問題解決へ取り組むストーリー、はじめの一歩。

実際に牛乳をいただく時間になりました。ミルメーク(いちご味・コーヒー味)を加えた味も試しました。人気投票では一番人気がコーヒー味で、何も入れない牛乳本来の味わいも大健闘でした。

大野先生は、10月の販売体験の授業に向けて課題を出しました。
「子どもが減っているので、給食で牛乳が消費される量も減っています。牛乳をもっと飲んでもらうためのアイデアを考えてみませんか?」

グループで考えたアイデアを発表しました。
「ポスターを作っておいしさや栄養をPRする」
「牛乳を使ったスイーツを考えて試食してもらう」
「親しみを感じてもらうために体験イベントをやる」

塾生の発表を受け、堀本先生が話しました。
「みなさんのアイデアを聞けて、とても勉強になりましたし、商品開発の参考にしたいです。牛乳は、牛からいただいた大切な飲み物です。私たちも安全第一に丁寧に作っていきますので、牛乳を飲むときは、今日学んだことを思い出して飲んでくれるとうれしいです」

塾生は牛乳の課題や酪農家の現状を知ることで、今まで以上に牛乳を身近に感じることができたようです。

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