日時:2025年10月11日(土)10:30~16:00
会場:イノーベーション・ハブ・ひろしまCamps
次回の販売実習で扱う商品(ジャム2種類・ドライフルーツ6種類・ドリンク1種類)全9点の値段を決めます。大野先生から、仕入値や販売価格、利益、利益率などが記入された収支計画案が提示されました。それぞれの項目の説明を受け、売値をみんなで考えました。安くすると利益率が下がって儲けが少なくなります。高いと買ってもらえず、売れ残る可能性があります。売れやすく、なるべく多く利益が出る値段を話し合い、一つひとつ決めていきました。
「600円で売って買いやすくする?700円に上げてもっと儲けたい?」
大野先生は、塾生が開発したジャムの値段は特に慎重に決めたいようでした。完売をめざしたいという声が多く、600円で売ることになりました。
ドリンクの値段を考えるとき、メニューについて塾生から提案がありました。
「通常バージョンとトッピングタイプを選べるようにしたい」
それによって、ドリンクの中身と値段が2パターンになり、塾生にとっては接客や会計作業がやや複雑になります。
大野先生はあらためて確認しました。
「みんな、間違えないようにできるかな?」
塾生全員から、頑張りたいという強い意志が感じられました。お客さま目線で考えても、選択肢が増えるのはいいことです。
すべての商品の値段が決まり、予定数を売り切ると売上げは40万円弱、利益は16万円以上になる計算です。利益は塾生のおこづかいになるので、みんなうれしそうでした。
販売するジャム2種類とドリンクのネーミングを考える授業です。冨高先生からネーミングを考えるポイントについての説明がありました。
「商品の魅力がすぐにイメージできて、短く覚えやすく、インパクトがあるものです」
塾生は、まず、商品の特徴をシートに書き出し、その中からインパクトのある言葉を抜き出し、組み合わせました。班ごとにネーミング案を発表しましたが、どれも長く、特徴をたくさん詰め込みすぎた感じでした。
「商品の魅力を全部ネーミングで表現しなくていいですよ」
冨高先生からは、当日対面販売になるので、お客さまに商品の魅力を口頭でも伝えられ、ネーミングは思い切って短くしていいとアドバイスを受けました。さらに、“オノマトペ(擬音・擬態語)”のようなイメージしやすい言葉に置き換えることをすすめられました。
塾生は、似ている言葉を一つにまとめたり、並べ替えてみたりと、ネーミング案をブラッシュアップする作業を行いました。
再度、班ごとにネーミング案を発表したあと、それぞれの案をみんなで声を揃えて一斉に発声してみました。“言いやすく、聞いた瞬間に商品がイメージできること”をポイントに、全員の投票で決めました。
ゆず果汁入りジャム→商品名「あまずっぱ ! ゆずりんご」
りんごの皮・はちみつ・シナモン入りジャム→商品名「りんごの皮と蜜のしずく」
いちごジャム入りサイダー→商品名「シュワいちご」
とてもいい名前が決まりました。ここまでのネーミングの授業で考えたすべての案や言葉は、午後から作る販促ツールのキャッチフレーズや説明文で活かせるとのことでした。
当日販売する、ドリンク「シュワいちご」を作る練習です。最初に志摩先生が作る手順を説明しました。カップに氷とジャムを入れてサイダーを注ぎ、マドラーで混ぜてフタを閉じ、ストローをさせば完成です。トッピング希望のお客様に対しては、さらに刻みレモンを入れてミントを添えます。
「商品を手渡すときに、ジャムを混ぜて飲むように一言伝えるといいですね」
志摩先生からのアドバイスでした。
各班の前に材料が並べられ、ドリンク作りにチャレンジ。計量スプーンやカップで分量を間違えないように注意しました。本番で誰が作っても同じ味を提供するために大切なことです。
完成したドリンクは全員で試飲。トッピングした方が甘酸っぱくなり、美味しさが増すようです。
大野先生はこの時間の目的についてふれました。それは本番で重要になるポイントでした。
「今やったのは、作る練習だけではありません。実際に飲んで感じた味わいを、販売するときに自分の言葉で伝えられるようにするためです」
「去年の販売実習の様子を見てみましょう!」
スクリーンに昨年の販売実習の写真が映し出されました。イベントの雰囲気やブースに置いてあるツールを確認し、これから作る看板と商品説明シートの参考にします。
塾生は作りたいツールを選び、作業に取り掛かりました。看板担当は、ダンボールを適度な大きさにカットし、裏側から補強するために台紙を貼り付けていました。下書きから慎重にスタートした塾生、直接紙に大胆に書き始めた塾生、やり方はそれぞれ。絵を描いたり、文字に色をつけたり、飾りつけのシールを貼ったり、細かな作業を工夫しながら黙々と続けていました。
みんなで手分けしているので、作業は順調に進んでいきました。自分の作業が終わると仲間の作業を手伝う…。起農みらい塾に入塾したての頃は、学校や学年も違う、全員知らない者どうしでした。授業を重ね、学び合ううちに協力する姿勢や連携する形が自然と身についたようです。ツールが次々と完成していくなか、塾生の成長を感じられる時間にもなりました。
授業を終えた塾生たちの声です。授業の感想と本番に挑む意気込みを話してくれました。
「商品の値段は少し高いかなと思ったけど、フードフェスティバルという特別な日に売るし、他にはないオリジナルのジャムやドリンクなので大丈夫!完売します!」
「ドリンクの名前は、私のアイデアが採用されたので、めっちゃうれしかったです!でも、名前で売れ行きが決まるから責任もあります」
「ドリンクを作る練習は簡単だったけど、そこで課題が見つかって…底に沈んだジャムが溶けきれない…本番は頑張りたいです。トッピングメニューは、やることが増えて大変というより、逆にやる気が増してうれしかったです」
「ジュースの販売用の看板を作った。遠くからも見えるように、文字を太くして目立つように工夫した。大きいサイズだったけど、みんなで協力してまとまって作れた。販売の日は、お客さんがいっぱい来てくれるといいな」
次回の授業は「ひろしまフードフェスティバル」会場での販売実習です。「販売係」「会計係」「呼び込み係」の3つの班に分かれて作業を分担。塾生はお客さまと直接ふれあう機会を楽しみにしています。
ジャムとドリンクは、今回のイベントのために開発した限定商品です。数量に限りがありますのでお早めにご来場の上、お買い求めください。