授業レポート

若葉
若葉

起農みらい塾レポート No.10
「第10回授業」活動報告会と修了式
子どもたちが創る未来、新しいステージへ!!

日時:2022年11月20日(日)10:30~16:30
会場:イノーベーション・ハブ・ひろしまCamps

いよいよ最終回、第1期生修了の節目の授業です。保護者の前で、グループでの全体発表と『私のみらい』を語ります。第1回の授業から見守ってきたRCCアナウンサーの唐澤恋花さんも参加しています。

最後の授業だからこそ、学びの姿勢を正すことが大事。

最後の授業だからこそ、学びの姿勢を正すことが大事。

「今日は最後の授業です。午前中は発表のリハーサル、午後からは活動報告会で保護者の方も来てくれるので一生懸命、かっこよく発表しよう。でも、その前にやりたいことがあります」。大野先生はそう言うと、時々目につく授業中の姿勢を改善しようと学びあいのルールを決めようと提案しました。

最後の授業最後の授業

「最初に各グループで、これまでの授業でよくなかった点を共有しよう」。イスを押して遊んだ、仲間と言い合いして喧嘩になった、お菓子を食べ過ぎたなど発言が続きました。モニターには豊永先生が運営しているミラコラの“7つのルール”が映し出されました。これを例に起農みらい塾のルールをみんなで作ることになり、様々な意見が出ました。「楽しむことと集中のメリハリをつける」。「人の考えは否定から入らない」。「考えることを放棄しない、あきらめない」。「人をキズつけない。心も体も」。「悪ふざけはしない」。全部大切なことばかりで、絞り込めず困りました。結局、各自がこの中から今日1日守るルールを3つ程度決めて、実践することになりました。

プレゼンテーションの目的、極意を教わる。

プレゼンテーションの目的、極意を教わる。

大野先生から、今日の発表に役立つプレゼンテーションの極意を聞きました。プレゼンの語源はラテン語の“前にいる(存在する)”こと。立っているだけでプレゼンテーション、でも、それでは考えていることが伝わらないので話をするということ。「プレゼンの目的は相手の心を動かすことです」。どうすれば心が動くのか、3つの魔法を教わりました。目(LOOK)、口(LOUD)、笑顔(SMILE)、「相手をしっかり見て、大きな声でハキハキしゃべる、そして笑顔で。これは仕事をするときも大切です。いいプレゼンをすると、相手からいいプレゼントが返ってきます」。

大野先生から、今日の発表に役立つプレゼンテーションの極意を聞きましたプレゼンテーション

それを踏まえてリハーサルが始まりました。1グループごとにみんなの前に立ち、順番に発表していきました。立ち位置の確認や話す順番などもチェック。途中、保護者が座る席の方に向いてしゃべるようにアドバイスも受けました。時間をかけてすべてのリハーサルが終わり、本番に備えました。

リハーサルが終わり、本番に備えました。

保護者が見守る中、グループでのふりかえりと『私のみらい』の発表

保護者が見守る中、グループでのふりかえりと『私のみらい』の発表

午後になると保護者が教室に入ってきました。「ただいまより起農みらい塾の最終成果発表会を開会します」。豊永先生の開会宣言でスタートしました。
トップバッターは、チーム名「未来農業プロジェクト」です。起農みらい塾をふりかえり全員で発表しました。「トマトの収穫体験でヘタが取れないように収穫すること、販売活動では商品の盛り付けやジュースを注ぐこと、呼び込みをがんばりました」。「難しかったのはプレゼンの準備です。みんなの意見をまとめるのが大変でした」。学校ではできない経験を通して自分に自信がついたという感想もありました。
次に1人ひとりが『私のみらい』を順番に語りました。「22歳までに心理カウンセラーという夢を実現させたい。そのためにコミュニケーション能力を高めたい」。「宇宙飛行士に挑戦したい」。「テレビ番組に出演する」。「プログラマーになりたい」。「大阪でお笑いの仕事をがんばりたい。将来は自分の冠番組をもちたい」。子どもたちはキラキラした目で話していました。

〈参観した保護者の意見・感想〉

「授業の中でどんなことを感じてどんなことを得たのかがよくわかりました。将来につながる発言もあり、とても頼もしかったです」
「みんなの前で発表するのが苦手だから参加したいと、本人が決めました。今日も大丈夫かなと心配していましたが、しっかり発表できていてよかったです」

2番目はチーム名「TMKM」の発表

2番目はチーム名「TMKM」の発表です。「がんばったことは、ライスバーガーを100個全部売り切ることができたこと。模造紙に考えやアイデアをしっかりまとめることができたこと」。「訪問授業では生産、加工、流通などいろんな人の考えや思いを聞けたことがよかったです」。起農みらい塾をふりかえった後は、自分の将来についての話です。
「24歳までに妹とカフェを開業したい。そのために料理やおもてなしをがんばりたい」。「ぶどうの生産に挑戦します。人をたくさん雇って大規模農業にステップアップしたい」。「私の夢は助産師です。そして、50歳までに幸せな家庭を築きたい」。「医者になって、患者さんに喜んでもらいたい」。子どもたちの描く未来はさまざまでした。

2番目はチーム名「TMKM」の発表

〈参観した保護者の意見・感想〉

「みんなの夢が具体的ですばらしかったです」
「子どもから、塾で習ったことを聞くのがすごく楽しみでした。スマート農業を知って、親の私が農業に対して考え方が変わり、勉強にもなりました」
「5ヶ月間成長を見守っていました。自分の子どもといっしょに学んでくれたみんなにもお礼を言いたいです。今日、様々な夢を持っていることに感動しながら聞かせていただきました。ぜひ夢を叶えて、起農みらい塾の卒塾生として若者にフィードバックしてほしいです」

3番目はチーム名「SAMN(サン)」の発表

3番目はチーム名「SAMN(サン)」の発表です。「がんばったことは、販売活動用の看板を作ったこと。大きな声で呼び込みができたこと。商品を全部売り切ったこと。農業の問題の解決方法を考えたこと」。「2時間立ちっぱなしで働くのが大変でした。でもお客さんにがんばってねと声をかけられてうれしかったです」。 続いて個人発表の『私のみらい』です。「28歳までに料理人という仕事を実現します」。「歯科医師になる。患者さんに喜んでもらえるようにがんばりたい」。「新体操の先生に挑戦したい。たくさんの人が通う教室を開きたいです」。「獣医師やドッグトレーナーなど動物と関わる仕事をしたい。そして、動物の保護活動の仕事にステップアップしたい」。

RCCアナウンサーの唐澤恋花さんから質問

発表の後、RCCアナウンサーの唐澤恋花さんから質問がありました。「学校にはない、この塾で学んだことで一番印象に残っている活動は何ですか?」
子どもたちはさまざまな活動を口にしました。「販売活動の準備と当日の作業です。価格の設定から店舗づくりや接客、PRの方法までを学べたこと」。「スマート農業の授業でドローンの見学が思い出に残っている。AIが農業にどのように役立っているのかを知った」。「トマトハウスで、商品になることを考えながら気をつけて収穫したこと」。

参観した保護者の意見・感想参観した保護者の意見・感想

〈参観した保護者の意見・感想〉

「農業の生産から販売まで教えていただいて貴重な体験になったと思います。最初は本人は通うのを躊躇していましたが先生方のサポートで楽しく学べたようです。今日の発表を聞いて将来が楽しみになりました」
「広島でこのようなビジネス型の塾があることがうれしく、親としてぜひ通わせたいと思っていました」
「お買い物に行ったとき、今まではお小遣いを全部使っていたのが、モノの価値を考えて使うなど、お金の使い方が変わり成長を感じました」

4番目はチーム「GKY」

4番目はチーム「GKY」です。「がんばったことはプレゼンで大きな声でゆっくりハキハキしゃべったこと。販売活動でこぼさないように商品を準備したこと、敬語を使って接客したこと。農業学習では質問をたくさんして、興味をもってメモをたくさんとったこと」。「楽しかったのは、テレビの取材を受けたこと。唐澤アナにサインをもらえたこと。バスに乗って現地訪問していろんな人と仲良くなれたことも」。「難しかったのは経営を考える上で必要なMQ会計表です。最初は意味がわからなくて、知らない言語に聞こえました」。子どもたちはMQ会計をはじめ、この塾のすべての学びが起業するときに活かせると感じたようです。
次に1人ずつ『私のみらい』を語りました。「You Tuberに挑戦したい。動画でみんなを喜ばせたい。35歳までにチャンネル登録者数100万人を目指したい」。その他にもう1人の子どもも将来の夢として話してくれました。「病院薬剤師です。後輩に優しく教えられる先輩になりたい」。「夢はアナウンサーになることです。いつもテレビに登場している唐澤アナがかっこいいと思ったからです。以前は自分の写真や動画を見るのが苦手だったけど、私がインタビューを受けた様子がテレビで放送され、学校で友達が見たよ!すごいね!と言ってくれて自信がつきました」。それを聞いた唐澤アナは、とてもうれしそうでした。

〈参観した保護者の意見・感想〉

「子どもにとって一番よかったことは、素敵な大人の方、スタッフとふれあえたことだと思います。コロナ禍の中、親としては1回1回授業に送り出し、無事に帰らせていただいたことに感謝しています」
「勉強したことをわかりやすく発表できていたと思います。毎回子どもは授業を楽しみにしていて、他の予定と重なってもこの塾は絶対休みたくないと、皆勤賞で参加させていただきました。学校で学べない答えのない授業、少数の意見をすくい上げてくださって実現してくれる、将来のためのいい経験になりました」

最後はチーム名「KMJK」

最後はチーム名「KMJK」です。「がんばったことは、みんなの意見をまとめて模造紙に書き込んだこと。農家さんや加工会社さんにインタビューをして解決策のヒントにしたこと」。「難しかったのは、意見が噛み合わず、まとめるのに苦労しました」。人との関わりを経験し、大人になって活かせるという子どもたちの言葉も印象的でした。
次は自分の将来についての話です。「夢は質屋さんです。人との関わり方を勉強して、大社長になりたい」。「収穫や出荷用の農業ロボットを作りたい。農家さんに喜んでもらえるからです。そして、農業ロボット会社の社長になりたいです」。「将来は漫画家になりたい。今は絵を描くことをがんばっています」。

〈参観した保護者の意見・感想〉

「ここまで細かく考えているのかと、びっくりしました。たくさんの友達と素晴らしい体験がそうさせたのではないかと思っています」
「自分から我が子に教えることができない学びがあるので、通わせてよかったです」
「前向きな姿を見ることができて、うれしかったです。恥ずかしがり屋なのですが、堂々と発表していて感動しました」

大野先生から贈る言葉 、“未来は自分でつくるもの”。

修了証と販売活動で得た報酬授与修了証と販売活動で得た報酬授与

5チームすべての発表が終わり、次は修了式です。修了証と販売活動で得た報酬授与、それに加えてJAバンクのノベルティグッズ(マスコットキャラクター「よりぞう」のブランケット)のプレゼントもあります。
「あなたは 起農みらい塾 第1期生として意欲的に取り組み 仲間と協力しあい、食農教育と金融教育のビジネス型体験学習の課程を修了されたことをここに証します」。大野先生から一人ひとりに修了証が手渡されました。

そして、第1期「起農みらい塾」の総括として、3人の方の挨拶です。まずは唐澤アナウンサーです。「私は最初から関わっていたので、みんなの成長がとても強く感じられました。苦手なことを見つけたり、意見が通らなくて大変なこともあったと思います。でも、話し合って前に進んでいく姿がかっこよかったです。ここにいる全員が、この世代を引っ張っていく大人になると感じました。修了おめでとうございます」。

JAバンク広島の鈴木先生

続いて主催者を代表してJAバンク広島の鈴木先生です。「農業の生産、加工、販売などを学んで、実際に経営者の声を聞き、情熱をもって取り組んでいることを感じたと思います。販売計画を立てみんなで役割分担した、主体性や仲間と連携してがんばる経験は、大人の世界で必ず活きてきます。小学生という立場で一歩先をいく学び、これを貴重な財産にしてもらいたいです。社会にあふれているモノやサービスに対して、もっと興味をもち、自分の夢や仕事が世の中の人にとって、どういう価値があるのか、どのように役に立っているのかを考えながら歩んでほしいです」。

大野先生の挨拶

最後に大野先生の挨拶です。「修了おめでとう!」とともに、“未来はつくる(自由)”という言葉のプレゼントでした。「みんなの将来の夢を聞くと、会社の社長や店のオーナー、さすが起農みらい塾だと思いました。10年後、20年後の世界はどうなっているのか誰もわからない。でも、自分自身の力で未来や時代を創れることを覚えておいてほしい。ここでの体験や記憶を忘れないでほしい。もし、困ったら大野先生を訪ねてきてください(笑)。先生も楽しかったです。ありがとう!」

学びの達成感とこれで終わりというさみしさが入り混じる中、交流会が始まりました。先生や大学生スタッフのサインやメッセージなど、寄せ書きを求める子どもたち。仲間と語り合う姿にこれまでの思い出が重なります。起農みらい塾の第1期生はみんな無事に修了しました。でも、これからが本番です。ここでの学びを活かして新しいステージにはばたいてほしい、大野先生の言葉を借りて、「未来は自分自身でつくれるんだよ。みんなありがとう」。講師・スタッフ一同より。

集合写真
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